プロジェクト管理に役立つコミュニケーションプランの作り方
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プロジェクトマネージャーには、タスクの委任、プロジェクトの障害の排除、メンバー全員での同じ目標の共有など、無数の任務を同時にこなすことが求められます。
ただ、高次的な目標をタスクに細分化し、期限に間に合わせることが効果的なプロジェクト管理に欠かせないのは確かですが、優れたマネージャーなら、規模の大小にかかわらず、プロジェクトにはプロジェクト管理コミュニケーションプランが必須であることも承知しています。
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テンプレートで作成を開始プロジェクト管理コミュニケーションプランとは?
プロジェクト管理コミュニケーションプランでは、プロジェクトを通じてステークホルダーに重要な情報を通知する方法を定め、そうした情報を受領する側、受領方法、タイミングや頻度についても決めます。
例えば、新しいウェブサイトの立ち上げを担当するプロジェクトマネージャーの場合、ワイヤーフレーム作成、コピーライティングやコーディングなどのタスクにプロジェクトをセグメント分けしていたとしても、ステークホルダーにプロジェクトの各段階で何をするかをステークホルダーに伝えているでしょうか。できていないことが多いはずです。
プロジェクトコミュニケーションプランの策定時には、以下を必ず含めます。
- コミュニケーションプランの目的や目標
- ステークホルダーとその役割に関する情報
- ステークホルダーと共有が必要な情報の種類
- コミュニケーションに使用する方法
- 各ステークホルダーに情報を伝える頻度
上述の例でいえば、ワイヤーフレーム作成後、CTO へのメールに PDF 形式のワイヤーフレームを添付して状況報告するなどの形でプランを定めることができます。
プロジェクト管理コミュニケーションプランが重要な理由とは?
コミュニケーション不全はプロジェクトの失敗を招き、結果として会社に膨大な額の経済的損失を与えることにもなりかねません。反対に、パフォーマンスの高い企業は、そうでない企業に比べて、効果的なコミュニケーションを頻繁に行っている傾向があります。
プロジェクト管理コミュニケーションプランがプロジェクトの順調な進展に寄与する理由には以下のようなものがあります。
- チームが参照できる文書ができる。
- ステークホルダーが最新情報を受領するタイミングの目安を示す。
- ステークホルダーがプロジェクトとそのステータスを見通しやすくなる。
- ステークホルダーがフィードバックを提供する機会が生まれ、チームが早い段階で問題を検知して作業のムダを減らせるようになる。
- 会議の生産性を高めたり、会議を完全になくすことができる。
したがって、プロジェクトを時間通りに完了させるには、効果的なコミュニケーションプランを作成することが大切です。
プロジェクト管理コミュニケーションプランの作り方
上述のメリットに基づき、実際にプロジェクト管理コミュニケーションプランを作成するには、以下の手順に従いましょう。
1. フォーマットを選択する
コミュニケーションプランに関するフィードバックが集めやすく、チームメンバーやステークホルダーにとってプランの共有や保存が簡単なプラットフォームを選びます。
多くのプロジェクトマネージャーが Word 文書やスプレッドシートでテンプレートを使ってプロジェクトのコミュニケーションプランを作成しますが、タイムラインやフローチャートなど、ビジュアルを使うことでコミュニケーションの頻度やステークホルダー別のコミュニケーション方法の選択などがよりスムーズになるかもしれません。
2. コミュニケーションの目標を設定する
達成したいものが何であれ、コミュニケーションプランを成功させるには、まずはその目標を書き出すのが大切です。コミュニケーションプランの重要性を踏まえれば、ここでの目標は、ステークホルダーにプロジェクトの最新ステータスを常に知らせ、その利点を繰り返し伝えることで、継続的な支持を取り付けることとなるでしょう。
3. ステークホルダーを特定する
プロジェクトの大半には多数のステークホルダーが参加し、各自がプロジェクトに及ぼす影響や関心のレベルはそれぞれ異なります。プロジェクトを通じてコミュニケーションの相手方となるステークホルダーを特定し、リストアップする必要があります。
ステークホルダー分析を実行して必要な支持を獲得しましょう。
やり方をチェック4. コミュニケーション方法を特定する
メールは全然見ないけれども Slack は一日中チェックしている CTO、Slack はインストールしていないけれどもメールは頻繁に見ているヘッドデザイナー、まったく異なる方法を好むアートディレクターなど、コミュニケーションチャネルの選好はさまざまです。
適切な相手に適切な情報を届けることもコミュニケーションプランの目的のひとつです。ステークホルダーをリストアップする際には、使用したいコミュニケーションの手段についても決めるようにしましょう。
ステークホルダーが確認や出席をする可能性が最も高いものを考慮し、以下の方法を検討します。
- 週次の例会
- ミーティング (対面、電話、ビデオ会議)
- ミーティングのサマリー
- ステータスレポート
- 正式なプレゼン
- アンケート
- ToDo リスト
- プロジェクトダッシュボード
- Slack や Google ハングアウトなどのコラボレーションアプリ
また、伝える情報によってもコミュニケーションの手段は異なってくるでしょう。プロジェクトの状況を週次で伝えるには対面での正式なミーティングではなく、毎週メールを送って重要なマイルストーンに達したタイミングでミーティングを行うようにすれば十分かもしれません。
5. コミュニケーションの頻度を決める
コミュニケーションの種類別に、送信する頻度 (月曜に週次のプロジェクト進捗報告、成果物へのリンクや現在の予算をメールで送信など) や各ステークホルダーに関与してもらう頻度 (各チームメンバーがプロジェクトマネージャーに毎日メールを送信するが、経営陣の関係者に関しては各マイルストーン後のビデオ会議で参加など) を決めます。
この情報は、プロジェクト管理コミュニケーションプランに含めた上で、コミュニケーションの頻度をカレンダーやタスク管理ソフトウェアにも忘れず追加するようにします。
6. 最新情報の通知を行うユーザーを特定する
このタスクは通常プロジェクトマネージャーの仕事となりますが、そうでない場合は、更新の責任者をコミュニケーションプラン内に明確に示しておきます。
もしプロジェクトに変更が生じたら?
スコープの修正や作り直しはどんなビジネスにも生じます。高度に組織化された企業でも、時にはプロジェクトの変更に際してコミュニケーションプランの調整を強いられることがあります。調整が必要となったら、プロジェクトの概要に戻り、プロジェクトの修正内容にコミュニケーションプランを合わせることで、問題が発生した場合でもプランを変わらぬ目安として参照し続けることができます。
機密情報はどう伝えるべき?
連絡先や提供する情報をきちんと把握しないと、セキュリティ上のリスクが生じる場合もあります。コミュニケーションプランを作成する際にはこうしたシナリオも考慮し、機密情報の共有方法を示したフローチャートを作成することをおすすめします。
プロジェクト管理にコミュニケーションプランを使う方法
コミュニケーションプランが完成したら、うまく利用できるよう、チームメンバーとステークホルダー全員に配布します。
こうすることで、プロジェクトのステータスを全員が認識できるようになり、チームメンバーやステークホルダーからの無駄な問い合わせがなくなって、プランの真価が発揮されます。
プロジェクト管理コミュニケーションプランを通じて、週次の例会の後、 Slack で会議の議事録が CTO に届くことがわかっていれば、CTO がメールをわざわざチェックしたり、プロジェクトマネージャーに聞きにくることもなくなるでしょう。チームメンバーにもプロジェクトの進捗状況や他のメンバーの作業内容が伝わりやすくなり、サイロ化された状態で孤独に作業するよりもモチベーションが高まります。
また、最新情報をマネージャーから定期的に知らせてもらうことで、プロジェクトの勢いが保たれ、メンバーが厳しい締め切りを常に念頭に置きながら作業を進めやすくなります。
細部に拘りすぎない
コミュニケーションプランはプロジェクトの成功に不可欠ですが、あまり細部にこだわるのは避けましょう。わかりやすさと重箱の隅をつつくような細かさとはまったく別物です。あまりに多くの情報を発信すると、誰も耳を貸さなくなってしまうでしょう。
メールは簡潔に、目的意識を持って書くようにしましょう。プロジェクトの重要な側面を明確に示したメールテンプレートを作っておくのもよいでしょう。こうすることで、ステークホルダーにとってあまり意味がないようなコミュニケーションに時間を割くことなく、重要な内容に絞ったプランとすることができます。
プロセスを標準化する
プロジェクト管理コミュニケーションプランを初めてプロジェクトに使うときは、チームメンバーにその重要性を理解してもらうのが難しい場合もあります。最初のトライがあまり上手くいかなかったら、失敗から学び、もう一度試してみましょう。コミュニケーションの実践を積むことで、プロジェクトのスムーズな進捗、ストレスの軽減や期限通りの完了などのメリットが見えてきます。これだけでも、プランをわざわざ作成した甲斐があるというものです。
プランを最新の状態に保つ
スコープの修正や作り直しはどんなビジネスにも生じます。高度に組織化された企業でも、時にはプロジェクトの変更に際してコミュニケーションプランの調整を強いられることがあります。調整が必要となったら、プロジェクトの概要に戻り、プロジェクトの修正内容にコミュニケーションプランを合わせることで、問題が発生した場合でもプランを変わらぬ目安として参照し続けることができます。
機密情報も考慮する
連絡先や情報を提供する相手方をきちんと把握しないと、セキュリティ上のリスクが生じる場合もあります。コミュニケーションプランを作成する際にはこうしたシナリオも考慮し、機密情報の共有方法を示したフローチャートを作成することをおすすめします。
総じて、プロジェクト管理コミュニケーションプランには、関連するチームメンバー全員に対してプロジェクトに対する期待値を視覚化し、従うべきプランを分かりやすくする働きがあります。この他にも、開始から終了まで、プロジェクトの管理に役立つビジュアルにはさまざまなものがあります。ガントチャートやダッシュボードをプロジェクトの進捗追跡やチームメンバーの担当管理に使ってみましょう。
プロジェクト管理コミュニケーション計画などの視覚化に Lucidchart を活用しましょう。
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