スプリントプランニングミーティングの進め方
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アジャイルのスプリントプランニングの有効性がスプリントの成功を保証するわけではありませんが、効果的なスプリント計画なくしてスプリントの成功はありえません。スプリントプランニングミーティングを適切に行うことで、新しいスプリントを開始しやすくなり、スクラム手法を使うチームがその目的と構造を再認識して不測の障壁を最小化し、スプリント中に完了すべき作業に対する基準を設定できるようになります。
チームが必要に応じてコラボレーションと計画を行い、生産的で実りあるスプリントを実現できるよう、効果的なスプリント計画プランニングミーティングを準備・実践する方法をご紹介します。
アジャイルスプリントプランニングの準備の進め方
スプリントプランニングミーティングを始めるには、まず計画の立案が必要となります。事前にいくつかの論理的な点を整理しておくことで、スプリント計画セッションを効率化し、コラボレーションと成果物に集中することができます。以下の手順でプロセスを始めましょう。
バックログを準備
スプリントの開始前、理想的にはスプリントプランニングミーティングの前に、製品オーナーが既存の製品バックログをすべて整理しておきます (この過程はバックログ見直しとも呼ばれます)。
製品バックログは、製品に何が、どのような順番で必要となるのかを詳細に記した包括的なリストです。ソフトウェアエンジニアリングは反復的なため、この製品バックログが完成することはなく、常に変化します。
プロセスを整理し、共通認識を保つため、製品オーナーと開発チームは、製品の評価や反復が終わるごとに、優先順位の付け直し、新たな詳細の追加、項目の削除、見積の調整など、継続的な改善を行っていきます。バックログは各スプリントと製品やソフトウェア全体に対するステージを定める役割を果たすため、キュー内の内容や開発者のキャパシティを双方が確認できるよう、スクラムチームは常にバックログを更新しておく必要があります。
バックログの準備と次のスプリントで完成させる作業の決定のためにプレプランニングミーティングを開催するのもよいでしょう。このミーティングには開発チーム全員が参加する必要はなく、スクラムマスターと製品オーナーがいれば十分です。スプリントプランニングミーティング前にバックログを十分に準備しておけば、スプリント計画のための貴重な時間をより有効に活用することができます。
チームメンバーのキャパシティを確認
スプリントのスケジュールに完全にコミットする前に、チームに提案された作業量をこなせるだけのキャパシティがあるかどうかを確認します。休暇予定や他のプロジェクトへの参加など、時間的制約があるかどうかをメンバーに確認し、メンバーがスプリントの作業量に完全にコミットできない場合は、それに応じて作業量を調整します。
チームメンバーのスケジュールに加え、必要なリソースがすべて揃っているかどうかも必ず確かめます。既知の問題や障害があればアジャイルスプリント計画に織り込み、スプリント開始前にチームで対処しておく必要があります。
チームの速度を確立
チームの速度とは、1回のスプリントでチームが完了できる作業量を指します。あるスプリントでチームが完成させるべき作業量に特定の基準はなく、速度は、チームがこれまでに協業してきた期間、完了すべきバックログ項目の数、スプリント計画の効率性などに大きく左右されます。
結成したばかりのチームの速度を決定する場合は、スプリントごとにチームの成果物やストーリーポイントを追跡し、チームにどれだけのレベルを期待できるかを判断するようにします。
スプリントプランニングミーティングを企画
スクラムマスターは、スプリントプランニングミーティングの関係者、検討内容、タイミングと場所を決定します。この準備には、ミーティングの日時や参加者を決めることも含まれます。
ミーティングの所要時間を決める際は、まずスプリントの期間を考慮します。スプリントの週数に2時間をかけると、スプリントプランニングミーティングに必要な時間がだいたい算出できます。例えば、スプリントが2週間の場合には、スプリントプランニングミーティングには4時間程度が必要になります。
ここで最も重要な点は、スクラムマスターがスプリント計画プランニングミーティングの議題を決め、スクラムチームメンバー、製品オーナーやその他の主要な関係者に配布することです。
スプリントプランニングミーティング進行のベストプラクティス
スクラムのスプリント計画は、スクラムチームが一体となって計画とコラボレーションを行う重要な場であり、今後のスプリントの方向性を設定し、スプリントの目標に対して全体的な理解を得る機会でもあります。スプリントプランニングセッションでは、チームの進捗状況を確認し、期待する内容を明確にし、具体的な計画を立てることを目指します。
以下のステップに従い、効果的なスプリントのスタートに相応しいスプリントプランニングミーティングを実現しましょう。
1. 全体像から始める
スプリントミーティングは、前回のスプリントを正式に終了し、チームの進捗状況を確認することから始まります。プロジェクトの全体的なビジョンをチームで再確認し、今後に対するポジティブで熱意ある見通しを持てるようにし、今後のスプリントに備えます。
次のスプリントに向けた具体的な目標があれば、ミーティングの始めに明確に示しておくと、具体的な計画を立てる際の参考になります。
2. 新たな情報、フィードバックや課題を提示する
次のスプリントのビジョンが明確に定まったら、スクラムマスターと製品オーナーが関係者から得た最新情報や新たな詳細を伝えます。顧客からのフィードバックについて議論を交わし、今後のチーム作業に関連する情報や指針として役立てることもできます。
前回のスプリントで進捗の妨げとなった問題を見直しておくのにもよいタイミングです。今後の作業の効率化のため、リソースやコミュニケーションの不足といった問題にはチームで対処していく必要があります。
3. チームの速度とキャパシティを確認する
プロジェクトの各段階におけるチームの対応可能状況を確認し、チーム全体で現在の速度を認識できていることを確認します。前回のスプリント以降に新たに加わったチームメンバーや責任者の交代についても報告します。
ここでは、期限を設定し、チームメンバーがスプリント期間中に取り組むストーリーを選択できるようにすることで、サプライズを最小限に抑えることを目指します。
4. バックログ項目を確認する
製品オーナー提案のバックログをチームで確認します。バックログには通常、スプリントおよそ2回分の作業が含まれており、チームはこの作業を整理して、次のスプリントのメインとする項目を決定していきます。メンバーがバックログ項目の内容や、項目と次のスプリントとの関連を質問できるようにしながら話し合いを進めます。
最新の製品バックログがあれば、明確に定義された目標、スプリントバックログ、スプリントで期待される成果について合意しやすくなります。スプリント内で現実的な作業や成果を定めるには、ユーザーフロー図や高次的な UML 図を参照して製品の全体的なビジョンに各項目がどう合致するかを可視化するのがよいでしょう。
5. タスクの担当者を決定する
各バックログ項目をチームメンバーと確認し、誰がどのタスクを担当するかを話し合い、リソースや時間の制約など、各タスクに必要な内容を決定します。作業の内容が固まったら、スクラムボードやスイムレーン図を作成して責任範囲を明確にし、スプリントの期限を確定します。また、メンバーが各自の進捗状況を正確に測れるよう、スクラムマスターが完了したタスクのあり方を定義しておく必要があります。
この場面では徹底的な交渉とコラボレーションが必要になるため、スクラムマスターは時間に配慮しつつ議論を進めるようにします。
6. 新たな課題、影響や依存関係を確認する
スプリントプランニングミーティングでは、ミーティング中に新たに出てきた課題を議論する時間を必ず取っておきます。課題を一つ一つ記録し、将来的に問題とならないようにするためのアクションアイテムを決めておきます。また、製品オーナーはこの時間を利用して、質問に答えたり、チームのリソースを説明することができます。
7. グループとしてのコンセンサスを確立する
チームでスプリントバックログを議論し、見積が完成したら、次のスプリントの計画を全員で徹底的に見直して確認し、計画が製品のビジョン、現在のチームのキャパシティや速度と一致していることを確かめます。
ここで最も重要なのは、製品オーナーとスクラムマスターが計画を承認し、メンバーが自信と熱意を持って作業を進められるよう奨励することです。
8. 正式にスプリントを開始する
いよいよスプリントの開始です。この時点までに、他のメンバーとの共同作業を開始するために必要なリソースがチームに多数備わっているはずです。スプリントプランニングミーティングの数日後にチームでの確認を行い、最高のスプリントのスタートを切れるようにします。
今後のスプリントのビジョンを整理し、メンバー全員がスプリントの目標を確実に認識できるようにするには、Lucidchart でビジュアルを作成して共有するのがおすすめです。スクラムチームが今後のスプリントを計画して完成させるために Lucid のビジュアルワークスペースを役立てる方法をチェックしてみましょう。
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