ADKARとは? チェンジマネジメントモデルの使い方やメリットを簡単に説明

読み取り時間 : 約10分

トピック :

    企業が関連性を保ち、成長する顧客基盤に対して実行可能なソリューションを提供し続けるためには、しばしば変化が必要となります。しかし、企業やその経営陣がチェンジマネジメントの必要性を認識していても、変化は困難かつ不快な場合があるため、従業員からの抵抗を受けることがあります。

    「でも、これがいつものやり方だ」という態度を克服するのは難しいかもしれませんが、幸い、抵抗を抑えて変化を起こすための実証済みの方法があります。Prosci の創業者である Jeff Hiatt 氏が作成した ADKARモデルは、個人が変化を理解して受け入れ、企業がイノベーションを成功させ、効率性を高めるのに役立つことが実証されています。

    ADKAR
    ADKAR モデル

    ADKARとは?

    90年代に開発された ADKARは、長年にわたる何百もの組織改革の成功例と失敗例の分析に基づいています。

    ADKARには、次の構成要素が含まれます。

    A : 認知 (Awareness) : 従業員に変化を認識させます。
    D : 欲求 (Desire) : 変化への欲求を植え付けます。
    K : 知識 (Knowledge) : 従業員に変更方法を教えます。
    A : 能力 (Ability) : 知識を変更能力に活用します。
    R : 強化 (Reinforcement) : 新しい方法を強化することで変更を永続化します。

    ADKAR モデルを実用して個人と組織の変革を促進する方法を理解するために、これら5つの構成要素を詳しく見ていきましょう。ADKAR の成否は、個人が変化の内容、変化の理由、変化が自分たちにどのような影響を与えるかを明確に理解しているかどうかにかかっています。

    認知(Awareness)

     

    従業員は変化が近づいていることを認識する必要があります。今後の変更に対する認知度が低いほど、抵抗感が強くなる可能性があります。

    実話に基づいた次のシナリオを例として考えてみましょう。

    従業員の斉藤さんは、業務終了の締め切りに間に合うように、忙しく入力作業をしていました。そこに、会社の設備部門の小嶋さんが斉藤さんの個室に入ってきて、「引越し用の箱を持ってきたよ」と言いました。

    「え、今なんですか?」と驚いた斉藤さんが尋ねました。

    小嶋さんは「新しいオフィスに引っ越すんですよ」と答えました。

    現在、斉藤さんが勤務しているオフィスは自宅からたった5分の距離ですが、引越し先のオフィスには1時間かかるため、通勤時間が大幅に増えることになります。

    斉藤さんはその後、上司の漆畑さんにどういうことかを尋ねました。漆畑さんは少し気まずそうに、「うん、そうだね。斉藤、ちょっと話せる?」と言いました。

    このように、斉藤さんは突然の通勤時間の変化に戸惑いを感じていました。

    例えば、あなたが長い間同じ通学路を使っていたのに、突然、1時間かかる別の道を通わなければならなくなったとしたら、誰でも不安を感じることでしょう。これと同じように、斉藤さんは急な変更に対して驚き、抵抗を感じていました。

    もし漆畑さんが、小嶋さんが箱を持って現れる前に、引越しについて事前に斉藤さんに伝えて、理由を説明していれば、斉藤さんももっとスムーズに準備できたかもしれません。例えば、「新しいオフィスは、より効率的で柔軟に働ける環境を提供するために必要な変更だ」とか、「この引越しは、私たちの仕事のスタイルを進化させるための一歩だ」といった説明をすれば、斉藤さんも納得しやすかったでしょう。

    要点 : 従業員が変更をより受け入れやすく、準備しやすくするために、事前に変更の理由をしっかり説明しておく必要があります。

     

    チュートリアル

    ビジネスプロセスの現在と将来の状態を示すことで、認知を高めます。

    やり方をチェック

    欲求(Desire)

    変更が必要な理由を従業員が理解していたとしても、変更を望んでいるとは限りません。

    組織のメンバーが変更の必要性を理解し、それが有益であると素直に信じていれば、皆が目標に向かって変革を実行するために懸命に取り組み、熱意ある対応が見られるでしょう。これが ADKAR モデルの次のステップです。

    従業員が変更を完全に受け入れない場合、参加意欲はなくなり、受動的・能動的な抵抗に直面することになります。従業員が変化に慣れるまで、変化のプロセスを手伝う必要があるかもしれません。その反応を測定して、対応レベルを把握する必要があります。

    受動的な抵抗は、従業員が変革の必要性を理解していない場合に発生しがちですが、こうした従業員は自分にとって都合がいいときには従う可能性が高くなります。また、上司が近くにいないと、以前の方法に戻ってしまう可能性もあります。

    変化に積極的に抵抗する人もいます。これは必ずしも悪いことではなく、変化の理由と根拠を十分に説明しなかったことが原因かもしれません。だからこそ、コミュニケーションの早い段階で「自分にとって何のメリットがあるか?」(What’s in it for me: WIIFM) という質問に頻繁に答えることが重要です。Prosci の2019年のベンチマーク調査では、効果的なチェンジマネジメントの実践と原則を実施することで、従業員が遭遇する抵抗の47%を回避できた可能性があることがわかりました。

    抵抗を予防するには、次の方法を試しましょう。

    • チームと協力し、オープンな議論を促して変化を受け入れてもらう
    • 変革を推進するために上級管理者からのサポートを得る
    • 変化の必要性を伝え、WIIFM に早期かつ繰り返し回答する

    要点 : 従業員の気持ちに配慮し、その不安に対処し、変革が個人にもたらす利益を示すために最善を尽くします。

    知識(Knowledge)

    変革を実行し、維持するために必要な知識が従業員になければ、チェンジマネジメントの取り組みはうまく進みません。知識とトレーニングの提供を増やすことで、従業員は変化を理解し、そのメリットを認識するようになります。そして、ADKAR プロセスの次のステップへとその知識をつないでいくことが容易になります。

    Prosci の ADKAR モデルは、チェンジマネジメントにおける2つの主要な知識の種類を強調しています。

    • 変更を実行する方法を知ること (例:移行中にすべきこと)
    • 今後どのように行動するかを知ること (例:変化に対応するスキル)

    この知識を構築するには、従業員に対して、トレーニングと教育、経験、情報へのアクセス、メンタリングを提供する必要があります。例えば、変更により新しいプロセスと手順が必要となる場合、業務が円滑に進むように適切なトレーニングとメンタリングを提供します。これらのプロセスを文書化して、従業員が参照できる明確なリソースを提供し、ベストプラクティスに従える可能性を高めます。プロセスフローチャートなどのビジュアル文書はこの段階全体を通して役立ちます。

    要点 : チームをトレーニングし、新しい手順とベストプラクティスに関するリソースを提供して、従業員が適切なタイミングで変更を成功裏に実行できるようにします。

    ビジネスプロセスフローテンプレート
    プロセスフローテンプレート(画像をクリックしてオンラインで変更)

    能力(Ability)

    チームが変更を理解したからといって、すぐにそれぞれの役割を果たせるようになるわけではありません。

    例えば、ある子供が水泳の授業を受けているとしましょう。理論的には、足で蹴って腕を動かして水の上を進む必要があることは理解しているでしょうが、実際には容易ではありません。泳ぐことに慣れるまでには、浮き輪をつけて浅瀬で泳ぐ練習が必要です。

    知識を能力に変えるには、何度か練習を重ね、何がうまくいって何がうまくいかないかを分析する必要があります。必要に応じて調整し、再挑戦します。先輩として建設的なフィードバックを提供し、常に改善と効率化の方法を探しましょう。

    要点 : 従業員が変更を実施し始めたら監視し、建設的なフィードバックを提供して新しいプロセスを改善できるようにします。

    強化(Reinforcement)

    強化は、変更を加え、ワークフローがスムーズに実行された後に、古い方法に戻らないようにするための ADKAR モデルの重要なステップです。変化を完全に受け入れるには時間がかかります。British Journal of Health Psychology の研究によると、習慣の形成には中央値で59日かかるとされています。

    アクティビティが複雑になるほど時間がかかります。したがって、従業員に導入された変更を受け入れてもらうには、従業員が順調に業務を進め、生産性を維持できるように、積極的な強化が必要です。強化は、評価と報酬、パフォーマンス測定、変更が継続していることを示す肯定的なフィードバックなどの形で行うことができます。

    さらに、ADKAR モデルの強化段階を利用して、新しいプロセスが機能していない領域や、プロセスにボトルネックが発生してストレスや不安を引き起こしている領域を探すことができます。以前は変更を支持していた人が変更に反対し、期限や目標を満たすために古い業務フローに戻る可能性があります。

    プロセスの失敗や従業員の挫折を待つ必要はありません。ワークフロー図やフローチャートを使用して問題がある領域を特定し、チームと協力して解決策を見つけましょう。問題に取り組み、視覚的に解決策を見つけることで、管理者と会社が実装された変革にコミットしているという考えを強化することができます。

    要点 : ADKAR モデルは実践したからと言ってで終わりではありません。望ましい結果を得るには、時間の経過とともに変更を監視し、従業員がそれに従い続けるように促す必要があります。

    その他のチェンジマネジメントモデル

    ADKAR モデルは組織と個人の変更を管理する唯一の方法ではありません。このモデルが組織のニーズに合わない場合は、会社で効果的な変更を行うために開発された他のチェンジマネジメントモデルを検討しましょう。

    ADKARだけで変革を成功させることも可能ですが、他のモデルを試して、自分にとって適切なモデル (またはモデルの組み合わせ) を見つけることもまた有用です。

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