ウォーターフォール方法論

ウォーターフォールプロジェクト管理手法でできること、できないこと

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トピック :

    プロジェクト管理に携わる方なら、チームに最適なアプローチを選択する中で、クリティカルパス、スクラム、PMBOK、シックスシグマなどの奇妙な用語を耳にしたことがあるでしょう。こうした用語のうち、おそらくウォーターフォールプロジェクト管理という言葉は実践したことがなくても聞いたことがあるはずです。

    このアプローチがプロジェクト管理のニーズに合うかどうか、知りたくありませんか?このガイドでは、ウォーターフォール手法が連続的なプロセスでプロジェクト管理を簡素化する方法に加え、実際の業務でこれを取り入れる方法をご紹介します。

    ウォーターフォールプロジェクト管理手法とは?

    簡単に言えば、ウォーターフォールプロジェクト管理とは、線形で順番にプロジェクト管理を行っていくプロセスを指し、いくつかの個別のフェーズで構成されます。前のフェーズが完了しない限り、その次のフェーズは開始しません。また、各フェーズは完了時点でクローズし、前のフェーズへ戻ることはできません。最初のフェーズからすべてをやり直す場合のみが例外です。

    ウォーターフォール手法は厳格にも思われますが、これはこの手法が製造や建設などの非ソフトウェア業界におけるニーズに応えて生まれたという歴史的な経緯からくるものです。こうした業界では、プロジェクトのフェーズは順番に実行せねばならず、例えば、家の枠組みを作る前に乾式壁の塗装はできません。同様に、コンクリートの基礎を注入し直すことができないように、フェーズのやり直しもできません。

    したがって、ご想像のとおり、ウォーターフォールシステムには的確な計画立案が欠かせません。プロジェクトの要件を事前に明確にし、プロジェクトに関与する全員にその要因を周知させておく必要があります。また、チームメンバー全員がプロジェクトにおける各自の役割とその内容を理解していることも重要です。

    こうした情報はすべて、漏れなく文書化し、プロジェクトの関係者全員に配布します。以下のようなフローチャートとして情報をまとめると、要件を把握し、必要に応じて参照しやすくなります。チームメンバーのタスク担当を示すスイムレーンを追加するのもよいでしょう。

    チームメンバーは、プロジェクトを通じてマネージャーが提供するドキュメントを参照することになります。このドキュメントを的確に参照することで、期待される内容が明確化され、プロジェクトの進路を示すガイド役としての役割を果たすようになり、進捗状況の判断をしやすくするプロジェクトのマイルストーンも示してくれることになります。

    このため、ウォーターフォールプロジェクト管理手法では徹底した文書化が優先されます。プロセスの各フェーズで文書化を行い、関係者全員の認識を揃えた上で順番にプロジェクトを進めていきます。

    ウォーターフォールプロジェクト管理のフェーズ

    このシステムの具体的なフェーズは出典により多少異なりますが、一般的に以下が含まれます。

    1. 要件収集とドキュメンテーション

    この段階では、プロジェクトで必要となる情報を、インタビューからアンケート、インタラクティブなブレインストーミングなど、さまざまな方法で包括的に収集します。このフェーズが終わるまでには、プロジェクトの要件が明確になり、要件ドキュメントをチームメンバーに配布できるようになるはずです。

    2. システム設計

    要件が確立したら、システムの設計に移ります。このフェーズではコーディングは行いませんが、プログラミング言語やハードウェア要件などの仕様をチームで決めていきます。

    3. 実装

    コーディングを行うフェーズです。プログラマーは前の段階からの情報を使って機能する製品を作っていきます。通常は部分ごとに分割した形でコードを実装し、このフェーズの最後または次のフェーズの最初の時点で統合します。

    4. テスト

    コーディングがすべて完了したら、製品のテストを開始できます。テスターが問題を体系的に見つけて報告し、重大な問題が発生した場合は、プロジェクトの再評価のために最初のフェーズに戻る場合もあります。

    5. 提供/デプロイ

    このフェーズでは製品が完成し、チームはデプロイまたはリリースする成果物を提出します。

    6. メンテナンス

    製品が顧客に納品され、使用されるフェーズです。問題が発生した場合には、パッチや更新を作成して対応する必要も生じます。ここでも、大きな問題が発生した場合には最初のフェーズに戻らざるを得ないこともあります。

    ウォーターフォールプロジェクト管理の利点

    大半の企業は複数のプロジェクト管理スタイルを組み合わせて使用していますが、LiquidPlanner の2017年のレポートによれば、メーカーの25.5%が現時点でウォーターフォール手法を使用しています。では、この手法がこうも多くのチームで成功裏に採用されている理由はどのようなものでしょうか。

    トレーニングをシンプルに保てる

    ウォーターフォール手法をとることで、キャパシティに不測の変化があった際にもプロジェクトを確実に成功させることができます。徹底的な文書化がプロジェクト管理の根底にあるため、新しいチームメンバーがプロジェクトに加わった際の手続きも手軽かつシームレスで、プロジェクトの最初から最後までが記録に残っているので、チームを離れたメンバーが何をしようとしていたかを推測する必要もありません。新メンバーはドキュメントを参照してスピーディに業務に慣れることができます。

    進捗を示せる

    ウォーターフォールプロジェクト管理では、進捗状況もシンプルに示せます。最初のフェーズで明確にマイルストーンを示すため、プロジェクトがスケジュール通りに進んでいるかどうかの確認も簡単で、また、フェーズが個々に分かれており、前のフェーズに戻ることがないので、特定の時点でプロジェクト完了までの距離感がつかみやすくなります。プロジェクトのタイムラインに関する推測も大幅に減ります。

    プロジェクトを管理しやすくする

    こうした利点にシステムの線形な性質が相まって、ウォーターフォール式のプロジェクトは管理しやすい傾向があります。順番で進むシステムのため、プロジェクトが現時点でどの段階にあるのか、スケジュール上適切なのかが分かりやすく、大規模なチームの管理に手を取られることなく、マネージャーは特定のフェーズに参加しているチームメンバーのみに集中できます。また、不測の遅延や異動が発生した場合でも、ドキュメントのおかげでチームをすぐに軌道に戻すことができます。

    時間と費用を節約できる

    ウォーターフォールプロジェクト管理を全面的に取り入れなくとも、概念化や詳細な文書化といった手法の性格上、最初から適切にプロジェクトの準備と実践ができるようになります。早い段階で要件を検討し、備えることで、その先の段階でも時間と費用を節約することができます。

    ウォーターフォール手法を使うべきタイミング

    ウォーターフォール手法のエキスパート Patrick Rockwell は、この手法の導入がメリットとなる状況についてこう説明しています。

    「昨今ではあまり一般的ではなくなりましたが、最終製品の要件が固定しており、時間と資金が変更可能な場合には、ウォーターフォール手法を勧めます。例えば、大企業で働く科学者のようなもので、試行錯誤を経てプロセス全体を何度もやり直し、最終的な成果にたどり着くという過程がウォーターフォール手法においては想定されており、むしろ好ましいとも言えます。そのため、メンバーが何度もアプローチを調整し、再考していけるのです。」

    同氏の言葉のとおり、ユーザーのアイデアが漠然としていて具体性に欠けるなどでプロジェクトの要件が完全には明らかでない場合には、ウォーターフォールプロジェクト管理手法が適さない可能性があります。ウォーターフォールシステムの線形な性質は課題発見には適しておらず、具体的な要件なしではプロジェクトをうまく進めるのが難しくなります。

    テストを後期の段階に残すと、修正も大掛かりなものになります。実際に、ウォーターフォールシステムの厳格な信奉者であれば、修正は製品の要件が不明確なことから生じるため、プロジェクトを振り出しに戻すべきだとするでしょう。これは、絶え間なく変化するソフトウェアの世界などの多くの業界で深刻な問題となる可能性があります。

    プロジェクトに本番環境での要件変更や不可避な変更が予測される場合には、アジャイルアプローチの方が適切でしょう。現実的には、ほとんどのソフトウェア開発がこれに適合します。

    ウォーターフォール手法は変更に適応しにくいため、最初からしっかりと定義された短期のプロジェクトに最も適しています。プロジェクトの要件が変わらないと確信できるようであれば、明確に定められたプロセスを通じてプロジェクトをシンプルに進められる手法でしょう。管理も追跡も簡単にできます。

    Lucidchart をプロジェクトの文書化に役立てる方法

    ウォーターフォール手法を試してみたくなりましたか?この手法におけるドキュメントの重要性を踏まえて、まずはすべての必須タスクを追跡し、チームで共有できるプラットフォーム探しから始めましょう。

    Lucidchart は、要件収集からテストまでのすべての段階で役立ちます。

    • 要件収集にはマインドマップを活用しましょう。ステークホルダーとのミーティング中に Lucidchart 文書を作成し、リアルタイムで提案を追加していくこともできます。
    • ソフトウェア開発に携わっている場合には、寄せられた要件に基づきユーザーフロー図を作るのもおすすめです。ソフトウェアのあるべき機能を大局的に把握しやすくなります。
    • 要件が固まり、その達成に必要なタスクが把握できたら、チームのワークフローを作成します。Lucidchart を使えば、依存関係をひと目で識別することができます。
    • 完成したドキュメントは、プロジェクトに関与する全員がアクセスできるようにします。あらゆる OS からアクセスできる Lucidchart なら、共有も簡単。人気のアプリへ図を埋め込むこともできます。また、閲覧のみや編集可能など、権限を管理して Lucidchart を信頼できる唯一の情報源として確立することもできます。

    Lucidchart アカウントに無料登録して、ウォーターフォールプロセス全体でドキュメントを改善する方法を確認してみましょう。

    ウォーターフォール手法をプロジェクト管理に応用する準備はできましたか?

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    Lucidchart について

    クラウドベースのインテリジェントな図作成アプリケーション、Lucidchart は、Lucid Software のビジュアルコラボレーションスイートのコアコンポーネントで、チームがリアルタイムで共同作業し、フローチャート、モックアップ、UML 図、カスタマージャーニーマップなどを作成できる直感的なクラウドベースのソリューションです。Lucidchart はチームが前進し、より迅速に将来を見据えて構築するための最高のツールとなります。Lucid は、Google、GE、NBC Universal などの顧客や、Fortune 500 企業の 99% を始めとする世界中の主要企業にサービスを提供しています。Lucid は、Google、Atlassian、Microsoft などの業界の主要企業と提携しており、創業以来、製品、事業内容と企業文化を称える各種の賞を多数受賞しています。詳細は lucidchart.com を参照してください。

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