自分がフローチャートオタクであることに気づいたのは、蒸し暑くて暗いヨガクラスで連続してポーズを取っていた時でした。インストラクターに「心をクリアにしてプロセスが身体の中を流れるように」と言われたところで、「プロセスを流すってことはヨガのフローチャートが必要だな」との思いが頭をよぎったのです。実際、そういうフローチャートも存在しています。
どんなプロセスにもフローチャートが存在します。ビジネスの世界にはプロセスフローチャートの言語もあり、「ビジネスプロセスモデリング表記法 (BPMN 2.0)」と呼ばれています。ただ、多忙なビジネスマンにとって、作図のために新しい言語を学ぶのは、やることリストでも優先度が相当低いアイテムのはずです。今後もその状況は変わらないでしょうからここでは、BPMNとは何かをもう少し分かりやすく説明したいと思います。
BPMN 図と聞くと、つい面倒そう、イライラする、今は勘弁してほしいと思ってしまう方に向けて、今日は「誰でもわかる BPMN 図の作成方法」とBPMN作成ツールを紹介します。
今すぐ BPMN 図を作成BPMN 図のもつ価値
BPMN を使用する最大のメリットは、これが標準化された作図言語であることです。UML がソフトウェアモデリングのための図を標準化したように、BPMN の作成者は、BPMN がビジネスの図にも同じことをもたらすと期待しました。つまり、BPMN を学べば、ビジネスの関係者が理解しやすい図を作成し、共有でき、当然ながら、同僚の共有する図も理解できるようになります。
この10年で BPMN への関心は大きく高まりました。BPTrends が行ったある調査では、調査対象企業のうち、2005年に BPMN 記法の導入に関心を示していたのは 20% に過ぎなかったのに対し、2015年にはこの割合が 64% にまで上昇しています。これに対し、他のモデリング言語への関心は低下していきました。したがって、BPMN を学ぶことでビジネスの世界での自分の価値を高められるようになります。特にプロセス管理に興味がある方にはおすすめです。
BPMN 図の基本的な図形とアイコン
BPMN 記法には、固有の図形が多数あり、イベント、アクティビティ、ゲートウェイ、コネクタ、プール、成果物といった主要なグループに分けられます。
イベント
すべての BPMN 図は、イベントに始まり、イベントで終わります。プロセスの途中でイベントが発生することもあり、イベントの種類を示すアイコンが表示されることもあります。イベントの詳細については完全なガイドを参照してください。
アクティビティ
アクティビティは長方形で表し、必ず「動詞+名詞」の形式でアクティビティを示すラベルを必ず付けておきます。詳細はガイドをチェックしてみましょう。
ゲートウェイ
ゲートウェイは、プロセスフローを分割・再結合する役割を果たし、ひし形で表され、プロセスフローの分割・再結合の条件を示すアイコンが含まれることもあります。特定のゲートウェイについての詳細はこちらから確認できます。
コネクタ
コネクタ (線) は、BPMN 図のある要素から次の要素への流れを示し、さまざまな線のスタイルでアクティビティとメッセージのフローを区別しています。詳細はこちらで確認できます。
プール
オリンピックプールと同様に、BPMN のプールもスイムレーンに分けられます。プールやスイムレーンは、プロセスの特定の部分を担当するグループや個人を示すために使用されます。BPMN 図には少なくとも1つのプールと1つのスイムレーンが必要です。
成果物
成果物は、BPMN 図に追加の情報を加える役割を果たし、注釈、グループ、データオブジェクトなどが含まれます。詳細については包括的なガイドを参照してください。
BPMN 図の作成方法
BPMN 図の作成を始める前に、図式化したいプロセスの範囲を定義しておきます。どのレベルの詳細を含めるかを決める上で重要なステップです。高次的な図は概略的なものとし、これを詳細にするにはサブプロセスや追加のドキュメントを使用します。
スコープが明確に決まったら、BPMN作成ツールであるLucidchart 文書を開いてキャンバスに図形をドラッグ・アンド・ドロップしていきます。Lucidchart のアカウントをお持ちでない場合は、今すぐ無料でアカウントを作成できます。
Lucidchart を無料で試してみる最初の図形は開始イベントとなります。これに対し、図の最後には終了イベントが来ますので、キャンバスにドラッグしておいてもよいでしょう。この例では色を緑と赤にしました。色分けしなくても、開始イベントと終了イベントの違いは境界線の太さで分かります。標準的なイベントの記法では、開始イベントには細い枠、終了イベントには太い枠、中間イベントには二重丸の枠を使います。
次に、以下のようにアクティビティを追加して、動詞+名詞の形式で名前をつけてみます。
BPMN 図には少なくとも1つのプールと1つのスイムレーンが必要ですので追加します。
これでBPMN 図は完成です。かなりシンプルな図ですので、もう少し複雑にしてみましょう。
BPMN を作成してみるこの BPMN の例は比較的シンプルなものですが、独自に BPMN 図を作成する際に留意すべき多くの重要なポイントや機能が含まれています。
- フローの方向は一定にします。プールやスイムレーンを移動した場合でも、図は常に左から右へと流れ、上から下にはなりません。
- コネクタは重ならないようにします。フローの方向性が一定であれば、この点は比較的簡単に理解できるはずです。
- [顧客 (customer)] のセクションでは、中華料理店での長い待ち時間に起こる出来事をゲートウェイで表現しました。メインシナリオはすべてのレベルに及ぶのに対し、例外は上にまとめられています。最初にメインシナリオを図示することで、BPMN 図がすっきりし、分かりやすくなります。
- 異なる最終状態を表すため、別々の終了イベントを含めます。例えば、[顧客] プールには2つの終了イベントがあります。1つは成功した最終状態 (中華料理を食べる) を表し、もう1つは失敗した最終状態 (待ち時間が長くて中華料理が食べられない) を表しています。
- 各プールには1つのプロセスのみを含めます。この BPMN 図は、相互に作用する2つのプロセスを示し、1つは顧客のプロセス、もう1つはレストランのプロセスです。それぞれに専用のプールがあります。
- 2つのプールが相互作用する場合は、実線のシーケンスコネクタではなく、破線のメッセージコネクタを使います。
BPMN図作成のヒント
BPMN の専門家がプロフェッショナルなBPMN の専門家がプロフェッショナルな作図のためのヒントをいくつかご紹介します。
まず、各 BPMN のスコープを明確に定義して図をシンプルに保つこと。詳細を掘り下げたい場合は、必要に応じてサブプロセスやサブサブプロセスの BPMN 図を作成しましょう。BPMN作成ツールであるLucidchart を使えば、こうしたサブプロセスも簡単に作成できます。高次的な図を作成し、タブを追加して個別の詳細な図を作成し、ホットスポットですべてをリンクできます。
図を見やすく保つには、別の文書で詳細を追加するのも有効。例えば、Google ドキュメントでプロセス要件を説明して Lucidchart 文書からリンクすることもできます。リンクを使うことで、図を汚さずにすべての情報を1つのソースにつなげることができます。
BPMN 図を印刷する場合は1ページに収まるようにすること。Lucidchart の [ページに合わせる] 機能を使えば簡単です。図をハイライトしてページ設定に移動し、印刷したい用紙サイズを選択して、[ページ幅に合わせる] アイコンをクリックすれば、Lucidchart が選択した用紙サイズに合わせて図を自動的に縮小または拡大できます。
最後に、図のバージョン管理を行うこと。プロセスを確定した後は、その状態を維持するようにしましょう。Lucidchart を使えば、編集可能、コメント可能、閲覧可能なユーザーをそれぞれ選択でき、バージョン管理も簡単です。不測の変更があった場合でも、改訂履歴でいつでも前のバージョンに戻れます。
Lucidchart で試してみる以下のコメント欄で BPMN に関するヒントを聞かせてください!
Lucidchart について
クラウドベースのインテリジェントな図作成アプリケーション、Lucidchart は、Lucid Software のビジュアルコラボレーションスイートのコアコンポーネントで、チームがリアルタイムで共同作業し、フローチャート、モックアップ、UML 図、カスタマージャーニーマップなどを作成できる直感的なクラウドベースのソリューションです。Lucidchart はチームが前進し、より迅速に将来を見据えて構築するための最高のツールとなります。Lucid は、Google、GE、NBC Universal などの顧客や、Fortune 500 企業の 99% を始めとする世界中の主要企業にサービスを提供しています。Lucid は、Google、Atlassian、Microsoft などの業界の主要企業と提携しており、創業以来、製品、事業内容と企業文化を称える各種の賞を多数受賞しています。詳細は lucidchart.com を参照してください。
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