CIOの役割のコロナ禍での変化と進化

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新型コロナウイルス感染症の世界的大流行が発生した当時、大抵の企業は危機対応モードに移行し、組織のあらゆる階層が、他社に遅れず在宅勤務に移行し、状況を乗り切る方法を検討しました。CIO は、ネットワーク、システムや人員面での日々のプレッシャーを解決し、さらにポストコロナの世界で企業が成功できる体制を整えるため、その任務を果たしました。

その結果、CIO はこれまで以上に組織にとって必要不可欠な存在となりました。CIO が今後も価値を提供し続けるためには、仮想ソリューション、戦略的なビジネスパートナーシップ、コロナ禍以降も組織を長期的に繁栄させるための準備により一層注力する必要があります。

この記事では、コロナ禍で変化し、進化した CIO の役割、そして 最高情報責任者であるCIO が今後のポストコロナで注力すべき点について概説します。

CIO の役割はコロナ禍で どう進化したか

今日の CIO の役割は、ゲートキーパーにとどまらず、コロナ禍で進化するビジネスのニーズに応え、対応することが求められています。

感染症の流行以前も、CIO の役割は変化しつつありました。その証拠に、2019年には、調査対象企業の82%がデジタル変革のプロセスに入っていたとされています。ただ、クラウドへの移行、私用デバイスの業務使用ポリシーの制定、技術スタックの構築など、デジタル変革を本格的に実践しようとしている企業は、コロナ禍でそうした変化を加速させることを迫られました。

コロナ禍発生を受け、多くの企業に急激な変化が起き、ほぼ一夜にして従業員全員が在宅勤務に移ることとなりました。会議はすべてバーチャルに移行し、重要な社内カンファレンスは中止されるか、完全にオンラインでの実施となりました。

顧客が実店舗へ来店することができなくなり、小売業は、生き残りをかけて自宅にいる顧客にアプローチする方法を模索することを迫られました。初期のデータによれば、新型コロナウイルス感染症関連の制限や職場での混乱の発生後の8週間で、消費者や企業のデジタル導入が5年分前倒しされたことが示されています。

ポストコロナの時代において、CIO は、組織がデジタル製品をスピーディに導入し、アジャイルかつ適応性の高い状態を維持し、急速な変化を推進できるよう、支援を続ける必要があります。以下では、CIO の役割がどのように変化したか、そしてその変化がどのように組織全体に影響を及ぼしているかをいくつかの具体的な例で紹介します。

CIO の役割はより戦略的に

CIO の役割は、現状の管理者から戦略的な導入パートナーへとシフトしています。例えば、20年前であれば、CIO は現行のシステムの管理方法を承知していれば十分であり、業務の存続を確保することができました。

今日の CIO には、新しいクラウドプラットフォーム、AI 技術や新しいサイバーセキュリティプロトコルなど、企業の成長と成熟をサポートするために必要な要素を徹底的に検討することが求められます。ポストコロナ経済の短期的・長期的な要件に企業が適応していく中、CIO の役割はますます戦略的なものへと進化しています。

よりクリエイティブなソリューションに対する CIO の関心が増加

通常の状況であれば、企業が新技術を評価し、戦略的計画を立てるために十分な時間はあるものです。コロナ禍ではその余裕がなくなり、従業員と顧客の体験を瞬時に変化させる必要が生じました。

IT 部門の支援により、従業員は在宅でも業務用ツールへアクセスできるようになり、顧客は直ちに実店舗での購入からオンライン購入へ切り替えました。こうした劇的な変化により、CIO は、従業員や顧客の体験をスピーディかつ機敏に、かつ予算をかけずに変革できる迅速で創造的なソリューションを見つけることを迫られました。

例えば、医療機関では、医師や看護師が患者の急増にストレスを感じ、患者の受診控えが起こり、管理者がこれまでにない量の事務処理に追われるなど、ありとあらゆる面で課題が発生しました。医療機関の CIO は、緊急性の高いコロナ対応をより効果的に行うために、遠隔医療ツール、管理プラットフォームやコラボレーションツールの迅速な導入に乗り出しました。

CIO は従業員や顧客の体験の向上に注力するように

世界中でステイホームが強制・推奨されるに伴い、事業継続性の面でデジタルチャネル経由のコミュニケーションが必要不可欠となりました。これに適応せず、様子見の姿勢を取れば、予測不可能な感染動向に企業の存続を賭けることになりかねない状態でした。

従業員の体験に関して言えば、CIO はビデオ会議やバーチャルイベントなど、テレワークという新たな勤務形態にスピーディに対応し、加えて、在宅で仕事をするために必要な機器、ネットワーク、プラットフォームやツールへの安全なアクセスを準備することも必要となりました。

ユーザーのニーズ、コンプライアンスやセキュリティプロトコル、リモート従業員を支援するハードウェアに企業が対応できなければ、業務は停止してしまいます。例えば、ビデオ会議システムは、同時進行で行われる膨大な数のミーティングへの対応を迫られました。この場合、一度に多数のミーティングに対応できるシステムがなければ、従業員は会議の開催すらできなくなります。

また、CIO には、デジタルコミュニケーションチャネル経由で企業への顧客の注目が高まる中で、顧客の関心と満足を保つ方法を見出すことも求められました。

コロナ禍初期には、多くの企業でカスタマーサービスへの対応や新たなデジタルチャネルでの顧客とのやり取りに関する問題が発生しました。インターネットのあちこちにカスタマーサービスの待ち時間が長くなったことに対する謝罪のメッセージが掲載されていましたが、これはまさに、企業がこうしたレベルの世界的な事象にまったく準備ができていなかったという事実を容赦なく示すものでした。

コロナ禍では、多くの企業の顧客体験が時代遅れであり、「常時オン」で変化し続ける世界に対応する柔軟性に欠けていることも露呈しました。CIO は、需要の流れを一時的にせき止めるための一時的なソリューションを作り、長期的なソリューション導入のための時間を稼ぐという二段階のアプローチでこうした課題を克服しました。                                                           

CIO がポストコロナで 注力すべきこと

調整の期間が終わった現在、CIO には、将来に目を向けることが求められています。ここでは、CIO がポストコロナの経済で企業のアジリティとイノベーション導入を支援し続けるために優先すべき事項をいくつか紹介します。

ハイブリッド勤務とオフィス環境に備える

事業運営や企業文化を完全リモート型へと恒久的に移行することを発表した企業 (Shopify、Twitter) もあれば、当初はリモート勤務を維持する予定だったものの、後にオフィス回帰の計画を発表した企業 (Google)、さらには、ハイブリッド勤務形式を採用したり、できるだけ早期に従業員をオフィスに復帰させる企業など、組織によってさまざまな対応が見られます。

今後の職場のあり方はまだ見えていませんが、未来を見据え、CIO にはリモートワーク機能を最適化することが求められます。セキュリティ対策の強化でサイバーセキュリティ攻撃に対する保護を強めることも不可欠ですし、CIO がセキュリティ担当役員と協業して従業員にサイバーセキュリティのベストプラクティスを教育することも必要となります。

多数の企業がハイブリッド型の勤務を導入すると考えられるため、コミュニケーションや情報アクセス面での差を感じさせずにリモート勤務とオフィス勤務の従業員が手軽につながれる環境を整備することが大切です。コラボレーションツールやビジュアルエイドでコミュニケーションを支援することで、チームがシームレスに連携できるようになります。

「ニューノーマル」における事業の継続性を考える

企業の多くがコロナ禍以前にすでに事業継続計画を策定していましたが、こうした計画は一般的に、業務の進め方を突如として根本から変えるのためのものではなく、データやディザスタリカバリを主眼に置いたものでした。コロナ禍の発生により、企業、ベンダーと顧客のそれぞれが、相互作用のあり方を一変させることを余儀なくされました。

将来的な事業継続のためには、ベンダーが必要な製品やサービスを突然供給できなくなった場合のことを想定しておく必要があります。例えば、昨年には AWS で障害が発生し、多くの企業がダウンタイムを余儀なくされました。また、顧客が利用したいチャネルの1つ、または複数が利用できなくなった場合にも柔軟に顧客サービスを提供できるようにしておかねばなりません。

ビジネス面でのパートナーシップ強化に注力する

CIO は、戦略的パートナーとして他部門と密接に連携し、新しいテクノロジーやツールを導入して変化する要求に組織が対応できるよう支援します。

この過程には、チーム間で協業し、多彩な部門間の徹底的な統合を推進するのに適切なツールを特定することも含まれます。縦割り構造をなくし、すべてがつながる未来に適応し、顧客サービスを改善するには、こうした統合が欠かせません。

ビジネス面での目的と IT 面での考慮事項を融合させることで、企業はデジタル変革を機敏に実践し、顧客体験の改善につなげることができます。例えば、実店舗での買い物に不安を抱える顧客のために、デジタルアプリを使った非接触型の購入体験を提供しているスーパーも多数あります。

変化する要求に対応するため IT オペレーションを強化する

事業運営を安定させ、変化に機敏に対応できる状況を築くため、これまで以上に弾力性の高い職場環境を保つことが企業に求められていますが、これは IT チームにも当てはまります。CIO は、要求に迅速かつ効率的に応えられるよう、IT オペレーションを強化する必要があります。

具体的には、クラウドへ移行するアプリを増やし、アップデート、インストールや従業員のアクセスの柔軟性を高めることから始め、次に、チームが迅速にイノベーションを実現し、理想的な状態への道のりを効率化するために「早く失敗すべき」のスタンスでソフトウェアを構築します。さらに、信頼できる唯一の情報源を確立し、コラボレーションにビジュアルを活用することで、チームがリアルタイムで連携し、プロジェクトのライフサイクルを通じて情報を共有できるようになります。

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