クラス図は、オブジェクト指向設計において、クラスやオブジェクトの構造と、それらの間の関係を視覚的に表現するための図です。主にUML(統一モデリング言語)で使用され、ソフトウェア開発におけるシステム設計において非常に重要な役割を果たします。
クラス図は、特定のシステム内のクラス、属性、操作、そしてオブジェクト間の関係を明確に可視化することにより、システムの構造を図式的に表現します。この図は、UMLにおける最も基本的かつ有用な図の一つです。LucidchartなどのUML作図ソフトウェアを使うことで、クラス図の作成は思っているほど難しくはありません。
このガイドでは、クラス図の基本的な情報、作成方法、使用例、そして重要なルールについて、初心者向けにわかりやすく解説します。
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クラス図とは?
クラス図は、統一モデリング言語(UML)の一部として、システムの設計を視覚的に表現するための図です。UMLは、ソフトウェアの構造や挙動を標準的にモデリングするための言語であり、その中でクラス図は特に重要な役割を果たします。
クラス図は、オブジェクト指向プログラミングにおけるクラスやオブジェクト、そしてそれらの間の関係を示すために広く使用されています。主にソフトウェアアーキテクチャの文書化を目的としており、システム内の構成要素を視覚的に整理するための「構造図」として機能します。
UMLはオブジェクト指向プログラミングの設計と文書化を支援するために作られた標準化されたモデリング言語であり、クラス図はその基礎を成す重要な図です。クラスはオブジェクトの設計図であり、クラス図ではプログラム内で使用されるクラス、重要なオブジェクト、そしてクラス間の相互作用が表現されます。
クラス図自体は、3つの部分から構成される長方形で表現されます。最上段にはクラス名、中段にはクラスの属性(データ)、最下段にはそのクラスが提供するメソッド(操作)が記載されます。また、クラスやサブクラスはグループ化され、オブジェクト間の静的な関係が視覚的に表現されます。これにより、システム内でのクラス間の関係やデータの流れが一目で理解できるようになります。
Lucidchart の UML ソフトウェアは、ユーザーの UML やクラス図に関する習熟度にかかわらず使いこなせるよう、シンプルかつ使いやすく設計されています。また、Lucidchart の UML 図形ライブラリは、UML 図ツールを使って多種多様なカスタムクラス図を作成する上で役立ちます。

クラス図を作成するメリット
クラス図は、組織に多くのメリットをもたらします。UMLクラス図を使用することで、以下のような効果的な用途があります:
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データモデルの視覚化: 複雑さに関係なく、情報システムのデータ構造を図として分かりやすく表現できます。
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アプリケーション全体の理解: アプリケーションの全体像を把握し、システムの概要をより深く理解することができます。
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特有のニーズの表現: システムの独自の要件や特徴を視覚的に示し、その情報を組織内でわかりやすく共有できます。
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詳細な実装計画の作成: システム構造を基に、必要なプログラムや実装コードを強調した詳細な図を作成することができます。
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実体型の説明: システム内で使われるデータ型や実体を、実装に依存せずに分かりやすく説明できます。
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システム全体の可視化: システム全体を視覚的に表現し、構造や関係を直感的に理解できるようにします。
このように、クラス図はシステムの設計や理解を簡素化し、組織全体での情報共有をスムーズにするための強力なツールです。
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UML図 を作成クラス図の基本的な構成要素
標準的なクラス図は以下の3つのセクションで構成されます。
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クラス
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クラスはオブジェクトを作成し、動作を実装するためのテンプレートです。クラスは共通の構造と動作を持つオブジェクトの集合を表します。クラス図では、クラスの名前、属性、メソッドが記述された長方形で表現されます。
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属性
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クラスが持つデータや特性を表します。例えば、
Person
クラスでは「名前」や「年齢」などが属性になります。
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メソッド
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クラスが実行する動作を示します。これらは通常、クラスがデータとどのようにやり取りするかを示す関数です。
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アクセス修飾子
クラスのメンバー(属性やメソッド)は、アクセス修飾子によってアクセス権限が異なります。主なアクセス修飾子とその記号は次の通りです:
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公開(+): 他のクラスからアクセス可能
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非公開(-): 同じクラス内からのみアクセス可能
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保護(#): サブクラスや同じパッケージ内からアクセス可能
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パッケージ(~): 同じパッケージ内からアクセス可能
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派生(/): 派生(動的)メソッドを示す
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静的(下線): 静的メンバー(クラス自体に関連付けられる)を示す

メンバーのスコープ
クラスのメンバーには 分類子 と インスタンス の2種類のスコープがあります。
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分類子: 静的メンバーを指します。これらはクラス全体で共通です。
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インスタンス: 特定のインスタンスに関連するメンバーです。
その他のクラス図の特殊な要素
クラス図において、クラスは、コンテキストに応じて、主要なオブジェクト、アプリケーション内の相互作用またはプログラム対象のクラスを表します。「UML のクラス図とは?」という問いに答えるには、まずその基本的な仕組みを理解する必要があります。
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シグナル
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アクティブなオブジェクト間での非同期通信を表します。
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データ型
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プリミティブ型や列挙型を表す分類子です。システム内で使用されるデータの値を定義します。
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パッケージ
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関連するクラスやその他の要素を整理するための容器です。通常はタブ付きの長方形で示されます。
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インターフェイス
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操作シグネチャや属性の集合で、クラスに似ていますが、実装のためには少なくとも1つ のクラスが必要です。
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列挙型
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ユーザー定義のデータ型で、列挙値を示す識別子のグループです。
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オブジェクト
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クラスのインスタンスを示します。実際のデータを持つ具体的なオブジェクトです。
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成果物
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システム内での具体的な実体(ドキュメント、データベース、実行可能ファイルなど)を表す要素です。
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クラス図の関係
クラス図では、クラス間のさまざまな相互作用や関係を示すことも重要です。代表的な関係は次の通りです:
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継承(Generalization)
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親クラス(スーパークラス)から子クラス(サブクラス)へ機能を引き継ぐ関係です。三角形の矢印で親クラスを指し示します。
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関連(Association)
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2つのクラス間の基本的な関係を示します。通常、直線で表現され、双方向または単方向があります。
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依存(Dependency)
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1つのクラスが他のクラスに依存している関係を示します。点線の矢印で表現されます。
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集約(Aggregation)
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あるクラスが他のクラスの一部を構成する関係です。空の菱形で表現されます。
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合成(Composition)
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集約の強化版で、親クラスが子クラスを完全に所有する関係です。塗りつぶし菱形で示されます。
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例:関連の使い方
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双方向の関連
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2つのクラスが互いに認識し、相互作用を行う関係です。例えば、
Car
クラスとRoadTrip
クラスの間で双方向の関係がある場合、一台の車は複数の旅行に関連付けられることが示されます。
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単方向の関連
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一方のクラスが他方のクラスを認識しているが、逆は認識していない関係です。例えば、
SpeedMonitor
(速度取締機)がDriver
(ドライバー)を監視するが、ドライバーは取締機を認識していない場合です。この場合、単方向の矢印が使用されます。
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クラス図の例
プロセスフローをマッピングするクラス図の作成は容易です。UML でクラス図を作成する際には、以下の2つの例を参考にしてみましょう。
ホテル管理システムのためのクラス図
クラス図により、利用者情報、スタッフの担当範囲や客室利用率など、ホテル管理システム内の各オブジェクト間の関係を示すことができます。以下の例では、ホテル管理システムに役立つ概要を一覧で確認することができます。以下のテンプレートをクリックしてクラス図の作成を始めましょう。
ATM システムのためのクラス図
ATM の仕組みは一見すると単純なものです。利用者が現金を引き出すにはいくつかボタンを押すだけで済みますが、詐欺行為を防ぎ、銀行の顧客に価値を提供できるよう、ATM の安全かつ効率的な稼働を確保するには、多数のセキュリティレイヤーの実装が必要となります。以下の図では、ATM のシステムの各要素を、人間が関与するものとそうでないものを含め分かりやすく描き出しています。すべてのクラスにタイトルが付けられ、その下に属性が並びます。この文書を開き、無料の Lucidchart アカウントに登録すれば、この図の編集と共有が可能になります。

クラス図の書き方
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クラスを定義する
クラスはシ ステムのオブジェクトを定義するテンプレートです。まず、必要なクラスの名前を決めます。 -
クラスの属性を追加する
クラスの属性は、クラスが持つデータを表します。例えば、名前や年齢など、クラスの特徴に関連する情報を記載します。 -
クラスのメソッドを追加する
メソッドは、クラスが提供する機能や操作です。クラスがどのようにデータを扱うかを示します。 -
クラス間の関係を描く
クラス図では、クラス同士の関係を示します。関係には、継承、関連、依存などがあります。これらを線や矢印で結びます。 -
多重度を設定する
クラス間で、1つのクラスが他のクラスとどのように関係するか(1対1、1対多など)を示すために、多重度を追加します。
Lucidchartのようなクラス図ツールを使えば驚くほど簡単にゼロからクラス図を作成することができます:
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Lucidchartにログインし、新しいドキュメントを作成します。
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左側のツールバーから「UML」を選び、「クラス」をキャンバスにドラッグします。
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クラスの名前、属性、メソッドを入力します。
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クラス間の関係を追加するため、関連線(継承や関連など)を使ってクラスをつなげます。
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必要に応じて関係の多重度やプロパティを設定します。
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完成したクラス図を整理して、保存または共有します。
Lucidchart では、あらゆる要素のサイズやスタイルを簡単に変更することができます。SVG 図形や Visio フ ァイルをインポートしてのカスタマイズも可能です。UML についての詳細は、チュートリアル「UML とは?」をチェックしてみましょう。