API を利用してアプリケーション間の通信を提供することで、ソフトウェアの価値を最大限に引き出し、社内外のユーザーや顧客に対してビジネス上の価値をもたらすことができます。ソフトウェアが他のソフトウェアと「対話」することなく単独で動作する時代は終わりました。
API の構築で柔軟性が生まれ、サードパーティのソリューションを組み入れながらアプリケーションをカスタマイズできるようになります。
この記事では、API開発入門として、API の主要な種類3つとそのメリット、独自の API を構築するための開発方法と6つのステップを紹介します。
API の種類
API には大きく分けて3つの種類があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
プライベート API
自社開発の独自 API はプライベートAPIと呼ばれ、自社開発のソフトウェアと並行して使用するサードパーティ製ソフトウェアを含め、チームが使用するアプリケーション間の通信のためのインターフェイスとして機能します。
パブリック API
パブリック API はオープン API とも呼ばれ、独自のソフトウェアへのアクセスのためにアプリケーションをカスタマイズしたい開発チームが利用できます。
パートナー API
パートナーAPI は、パブリック API と同様、ソフトウェアが独自のアプリケーションと通信するためのアクセスを提供します。ただ、パートナー API はパブリック API と違って一般公開されておらず、その独自ソフトウェアを所有または管理している企業との提携を通じた特別なアクセスが必要となります。
API のメリット
API を利用することで自社ソフトウェアの可能性をさらに引き出し、より利便性の高い形でユーザーに届け、将来的に得られる潜在的な利益を高めることができます。
市場投入までの時間を短縮
開発者は、API を使って既成の技術をアプリケーションに取り入れられるようになり、市場投入までの時間と費用を節約できる上に、チームのリソース節約にもつながります。
複雑な作業をアウトソース
API を活用することで、開発者はソフトウェアの複雑なインターフェイスではなく、アプリケーション独自の機能に注力できるようになります。他の開発者が API ですでに行った作業を繰り返すことなく、取り組むべき機能の開発に集中することができます。
ユーザーエクスペリエンスを改善
組織で API を活用することで、ユーザーによりよい体験を提供できるようになります。例えば、自社の提供するアプリを他の人気アプリと一緒に使いたいユーザーにとっては、API が使える方が嬉しいでしょう。社内開発者は、幅広い機能を備え、効率的に動作するソフトウェアの提供を通じてより優れたデジタル体験を生み出すことができます。
API の詳細については API 図を作成すべき理由をご覧ください。
もっと読むAPIの開発方法とAPI を構築するための6つのステップ
API を開発する際には、決まったプロセスを慎重にたどることでより効率的に作業を進めることができます。適切な API を構築することで、投資効果を最大化し、ユーザーや他の開発者が自社アプリの価値をさらに引き出せるようになり、ブランドの評判や人気を高められます。
計画
まず、API の計画立案を必ず行います。API の開発やプロトタイプ作成の開始前に計画を構築しておきましょう。ターゲットとなる開発者層を特定することから始め、確定したら、以下のような要素を考慮して計画を立てます。
- ユースケースを確立 : 特定のビジネスニーズに応えるために API を使用する方法を検討します。
- 仕様を決定 : OpenAPI などの API 仕様を使うことで、API 設計の計画に注力することができます。こうした「デザインファースト」の手法により、開発チームはより早く API を立ち上げられます。
- 早期に要件を定義 : 同意を得て API の要件を定義することで、チームが取るべき方向性が決まります。ユーザビリティ、信頼性、スケーラビリティ、検証可能性やセキュリティなどが重要な検討事項となります。
設計とプロトタイプ作成
最初にプロトタイプを作成し、これを継続的に改良することで API の設計を始めます。あらゆる API は、信頼性、セキュリティやスケーラビリティなどの基本要件を満たす必要があります。プロトタイプが完成すれば、API の構築に着手することができます。設計プロセスでは以下の要素を考慮します。
- API フローチャートを作成 : API フローチャートを出発点とし、高次的なロジックをマッピングして、API での情報の流れを視覚化し、最適化の余地を探すことができます。
- 設計にセキュリティを盛り込む : 識別、認証、承認と暗号化の4つのセキュリティ層で、自社のブランドや評判、パートナー、開発者コミュニティ、エンドユーザーを保護します。
- アーキテクチャを決定 : API アーキテクチャには、Simple Object Access Protocol (SOAP) や Representational State Transfer (REST) などがあります。SOAP は安全性の面で優れていますが、XML データフォーマットを使用しており、高帯域幅の使用やルールの厳格さといった面で欠点もあります。REST は軽量で柔軟性が高く、現在ではほとんどのアプリケーションで使われていますが、セキュリティ面では SOAP に敵いません。
- 開発者ポータルを計画 : API で優れたカスタマーエクスペリエンスを提供するには、効果的な開発者ポータルの提供が必要となります。開発者ができる限りスムーズにあらゆる作業を進められるポータルを構築する方法を検討し、開発者のニーズを念頭に置いて構築を行います。
- プロトタイプを構築: テスト用データベースに具体的なフェイクデータを作成してプロトタイプにフィードすれば軽量なフロントエンドで手軽に作業することができます。
開発
API 開発のベストプラクティスに従うことで、ブランドを保護しつつ API を構築することができます。API の構築や開発方法によって、パフォーマンスやセキュリティ、高いアップタイムを維持できるかどうかが変わってきます。
- API を最適化 : 大規模なリクエストや多量のリソース使用など、API が遭遇する状況に合わせてパフォーマンスを最適化することで、ユーザーエクスペリエンスの改善と障害リスクの低減につなげることができます。
- セキュリティの脆弱性を意識 : API にはセキュリティ面での脆弱性が伴う可能性があるため、API 構造の開発の際にはセキュリティを意識するようにします。API から返されるエラーに SQL クエリ、フレームワークやサーバーなどが含まれる可能性があり、これらがハッカーがアプリケーションにアクセスする手段となる危険性もあります。
- クオータとスロットリングの検討 : サービス拒否攻撃 (DoS) や通常の使用量の変化など、原因はともあれ、大幅なトラフィックの増加で API に障害が発生する可能性があります。トラフィッククオータやスロットリング戦略を導入することで、障害の原因となる大規模なスパイクを防ぐことができます。
テスト
本番環境でのパフォーマンステストを避けるために API を仮想化し、エラーや潜在的なボトルネックを見つけて本番環境への移行前に解決するようにしましょう。使用できるデータをチームメンバーに作ってもらい、実環境に近いテストができればさらによいでしょう。
- 問題を特定して早い段階で解決 : さまざまなネットワークをテストし、テストエラーを作成して、API がどう処理するかを確認します。
- API の機能を分離 : テストの際には機能を分離し、信頼性、セキュリティとパフォーマンスを徹底的に検証します。
提供
新しい API の設計、構築とテストが完了したら、提供に移ります。提供開始のニュースを伝え、API を宣伝する方法を決めましょう。
- ローンチ通知を作成 : API を利用する層に合わせて、宣伝用に共有できる通知を作成します。
- API 宣伝にリスティングを使用 : 他組織に向けて API とそのビジネス面での価値を伝えるには、API ディレクトリのリスティング掲載も有効です。
監視と反復
API を構築し、市場や顧客に提供した後も、継続的に API を監視することで、パフォーマンスを確認し、必要に応じて調整を行うことができます。開発者コミュニティ、パートナー、エンドユーザーなどの関係者の反応に気を配り、API がニーズに応えられているかどうかを確かめるようにしましょう。
- 分析サービスの利用を検討 : API やその他のソースで作成されたデータの収集には、分析サービスが役立ちます。視覚的なダッシュボードで分析内容を一元的に監視したり、コラボレーションしたりすることができます。
- 追跡する指標を決定 : 月間ユニークユーザー数、API のアップタイム、月間リクエスト数、サーバーメモリ使用量、さらにビジネス、パートナーやユーザーにとっての価値を表す指標などから選びます。
UML 図は API 内の情報の流れの視覚化に役立ちます。
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