クラウドコンピューティングの基本

クラウドコンピューティングとは何か。その意味や仕組み、種類やメリット

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クラウドコンピューティングは世界を席巻しています。実際に、Cisco の調査によれば、2021年までにワークロードとコンピュートインスタンスの94%がクラウドデータセンター経由で処理されるようになり、これに対して従来のデータセンター経由の処理はわずか6%にとどまるとされています。

クラウドの原理自体は新しいものではありませんが、クラウドベースのサービスへ切り替える企業やビジネスが増えるにつれ、クラウドコンピューティングの用語や概念のニュアンスの理解が重視されるようになっています。

この記事では、クラウドコンピューティングとは何か。意味や使用するメリット、仕組みとクラウドサービスの種類についてわかりやすくご紹介します。

クラウド・クラウドコンピューティングとは何か

テクノロジーにあまり詳しくない人にとって、クラウドとは漠然としてわかりづらい概念にも思えます。クラウドコンピューティングという言葉はよく耳にしますが、具体的にはどのようなものなのでしょうか。

米国標準技術研究所 (NIST) では、クラウドコンピューティングの基本を次のように説明しています。

クラウドコンピューティングとは、構成可能なコンピューティングリソース (ネットワーク、サーバー、ストレージ、アプリケーション、サービスなど) の共通のプールに対してユビキタスで利便性の高いオンデマンドでのネットワークアクセスを可能にするモデルであり、管理作業やサービスプロバイダーとのやり取りを最小限にとどめ、迅速なプロビジョニングとリリースが可能である。

ちょっと分かりにくいでしょうか。

簡単に言えば、クラウドとはインターネットを指し、クラウドコンピューティングとは、個人のサーバーやハードディスクでなくインターネット (またはイントラネット) 経由で実行されるソフトウェアやサービスを意味する技術用語です。

クラウドコンピューティングの仕組み

クラウドコンピューティングは、企業、組織、個人ユーザーなどの消費者が使用するプログラムやアプリケーションのサポートに必要なインフラを所有しないという点で、従来の IT ホスティングサービスと異なります。

こうした要素は第三者が所有・運営しており、エンドユーザーは使用するサービスに対してのみ料金を支払うこととなります。つまり、クラウドコンピューティングとは、オンデマンドのユーティリティベースのコンピューティングモデルといえます。

クラウドコンピューティングの特徴

オンデマンドのセルフサービス

ユーザーは、サービスプロバイダーとのやり取りなしで必要なときにクラウド経由でコンピューティングサービスにアクセスできます。ユーザーがその変化するニーズに合わせたコントロールとアジリティを確保できるよう、こうしたコンピューティングサービスには完全にオンデマンドであることが求められます。

広範なネットワークアクセス

クラウドコンピューティングサービスは、ネットワーク経由でユーザーが使いたいツール (ノートパソコン、デスクトップパソコンやスマートフォンなど) から広く利用できます。

リソースのプーリング

クラウドコンピューティングで最も魅力的な要素の一つが、リソースをプールしてコンピューティングサービスを大規模に提供できる点にあります。ストレージ、メモリ、処理やネットワーク帯域幅などのリソースをプールし、需要に応じて複数の消費者に割り当てることができます。

状況に迅速に対応できる弾力性

リソース配分を成功させるには、弾力性が必要です。サービスの中断や品質の低下を招くことなく急激な需要の変化に対応できるよう、正確かつ迅速にリソースを割り当てる必要があります。

従量制のサービス

クラウドコンピューティングサービスはユーティリティモデルに従い測定され、計量されるため、サービスプロバイダーと消費者は使用量を追跡し、リソースに対する需要に応じて費用を計算することができます。

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クラウドサービスの種類とモデル

クラウドソリューションには、主に IaaS (Infrastructure as a Service)、PaaS (Platform as a Service)、SaaS (Software as a Service) の3種類のサービスモデルがあります。

クラウドコンピューティング スラントコントロール

IaaS

IaaS は、ストレージ、ネットワークやサーバーなどのコンピューティングリソースをクラウド経由で利用できるサービスで、アプリケーション、データやミドルウェアなどの管理はユーザーが行いますが、IaaS はユーザーが高度なコントロールと柔軟性を活用できる自動化されたスケーラブルな環境を提供します。

例えば、年末年始などの繁忙期におけるワークロードの急増を支えるために多数の企業が IaaS を利用しています。

以下のような IaaS プロバイダーが人気です。

  • Amazon Web Services (AWS)
  • Microsoft Azure
  • Google Compute Engine (GCE) - Google Cloud Platform (GCP) の IaaS コンポーネント

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PaaS

主に開発者や運用担当者を対象としたサービスレイヤーで、サービスプロバイダーがアプリケーションの開発や提供を行うユーザーに対してクラウドベースのプラットフォームを貸し出すサービスとして、アプリケーションの構築、カスタマイズやデプロイをよりスムーズかつ効率的に行うためのフレームワークを提供します。

SaaS

クラウドサービスモデルの中で最もよく知られているのがクラウドアプリケーションサービスで、インターネット経由で第三者がホストするソフトウェアをパッケージ化してブラウザベースのインターフェイスなどで提供するものです。インターネット経由でソフトウェアアプリケーションを提供することで、企業は管理やメンテナンスのコストをベンダー側に転嫁できるようになります。

SaaS の例としては、メールや顧客関係管理ソフトウェアなどがよく使われています。

クラウドコンピューティングの種類

クラウドサービスには大きく分けて、プライベートクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウドの3種類があります。それぞれにメリットとデメリットがあり、選択すべきモデルは、自社のデータ、必要となるセキュリティや管理のレベルによって異なります。

一般公開

クラウドコンピューティングとして一般的にイメージしやすいのがパブリッククラウドでしょう。これは、すべてのサービスとそれを支えるインフラをインターネット上でオフサイト管理し、複数のユーザーやテナントで共有するものです。

消費者個人のレベルでのパブリッククラウドの例としては、Netflix や Hulu などのストリーミングサービスが挙げられます。ユーザーは個別のアカウントを通じてこうしたサービスに加入しますが、インターネット経由でプラットフォーム全体で同じサービスにアクセスします。

パブリッククラウドを利用するメリットは、リソースの共有による効率化と、これに伴う費用効率の向上にあります。規模が大きいほどコストが下がるパブリッククラウドは、一般にプライベートクラウドやハイブリッドクラウドソリューション、従来のオンプレミスコンピューティングよりも安価で、ユーザーは使用していないサービスに料金を支払う必要がなく、物理的なインフラの管理や維持を気にする必要もありません。

プライベート

プライベートクラウドは、インターネットやプライベートネットワークを通じて不特定多数のユーザーに IT サービスを提供するもので、パブリッククラウドのように複数のテナントは存在せず、通常は1つのテナントしか存在しません。データはすべてファイアウォールで保護されます。クラウドのアジリティに加え、より高いカスタマイズ性とセキュリティを求める企業にとって人気のオプションです。

プライベートクラウドはオンサイトでもオフサイトでも利用でき、単一のプライベートテナントで IT サービスのコントロールがしやすい点が特徴で、セキュリティやコンプライアンスを重視する企業に人気があります。

ハイブリッド

ハイブリッドクラウド環境は、プライベートクラウドとパブリッククラウドの両方の要素をニーズや状況に合わせて組み合わせたもので、独立した運用でありながら暗号化接続で通信を行い、データやアプリケーションのポータビリティを実現しています。

組織が自社の IT ニーズに合わせて柔軟に活用できるソリューションとして、近年特に人気が高まっています。

クラウドコンピューティングをビジネスに活用するメリット

クラウドベースのコンピューティングソリューションをビジネスに取り入れるメリットにはさまざまなものがあります。ビジネス面やデータのニーズに応じて内容は異なりますが、クラウド環境への移行で以下のようなメリットが期待できます。

コスト削減

クラウド移行のための初期費用はそう安くはありませんが、ROI 改善とコスト削減の点では大きな魅力があります。クラウド運用の導入に従い従量課金モデルを取り入れることとなり、ストレージや帯域幅など、不要となった IT の費用負担がなくなるためです。

また、クラウドソリューションの価格は、自社で IT インフラを構築・管理できるだけの資金がない中小企業に対して手頃に設定されています。加えて、効率向上とスケールメリットの実現で、長期的な収益性の改善につなげることもできます。

信頼性

マネージドクラウドプラットフォームは一般的に社内の IT インフラよりもはるかに信頼性が高く、ダウンタイムやサービスの中断が少なくなります。大半のプロバイダーが年中無休のサポートと99.9%以上の可用性を提供しています。

多重のバックアップにより、データやアプリケーションを必要なタイミングでいつでも確実に利用することができます。

モビリティ

クラウドで、従来の IT デリバリーでは考えられなかったレベルのポータビリティが実現可能となります。データやソフトウェアをクラウド上で管理することで、従業員が場所や時間を選ばず、インターネットに接続されたノートパソコンやスマートフォンなどのデバイスから必要な情報にアクセスし、コミュニケーションを取れるようになります。

クラウドベースのコンピューティングソリューションでは簡単な操作で誰もが同じ最新の情報にアクセスできるため、リモート勤務の機会が広がり、生産性や効率性の向上につなげることもできます。

クラウドへの移行準備の際には移行戦略を順調に進めるため、チェックリストを活用しましょう。

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